10/8~10/10の三連休を利用して、行ってきました。
槍ヶ岳、北鎌尾根。
今回は・TJさん・YKさん・MNさんの三名(Aパーティー)と
・HI・HA・私OKの三名(Bパーティー)2パーティーでの挑戦です。
AパーティーのMNさんは、なんと65才での挑戦です。
沢渡からバスで上高地入りしたのですが、すごい人の数。
こんなに山好きな人がいるんだ!と思う程の人、人、人。
どれくらいすごいかと言えば、横尾のトイレで30分の待ち行列が出来てしまう程。

しかし、横尾を過ぎると、いつもの静かな遊歩道となりました。

どうやら、ほとんどの人が涸沢を目指している様です。
混雑による駐車場の都合で、Aパーティーに遅れて上高地入りした私達Bパーティーは
早足で本日の目的地、北鎌沢出合いを目指します。

途中、霜が降りた樹葉を見ながら、もう地元の冬より寒い、北アルプスに来たのだと実感します。
上高地を出発して5時間。
ようやく槍ヶ岳と水俣乗越との分岐点、大曲に到着。
水俣沢から右岸のよく整備された道を登り水俣乗越へ。

文字通りコルを乗り越して天上沢へ下る。
ここからバリエーションの始まりです。
所々、雪が付いた急なザレ坂を一気に下ります。

急坂を下った所で先行のAパーティーにようやく追いつきました。
ここからゴロゴロした岩の上、なだらかな天上沢を下って行きます。私、個人的にはここが意外とキツかったです。

やっとの思いで本日の幕営地、北鎌沢出合いに到着。
心配していた水も豊富で、想像していたよりも風も無くて暖かく快適な夜を過ごす事ができました。
二日目の朝。
日の出と共に北鎌のコルを目指します。

大きな岩が折れ重なった様な細い沢で、背丈より高い岩をいくつも超えて行きます。

コルは早くから見えるのですが中々、近づかず2時間程かかってようやく北鎌のコルに到着。
休憩を挟んで、まずはP9天狗の腰掛をめざします。

稜線に出たと言っても、まだハイマツや草付きの中を登っていきます。
日陰部分には、雪も残っていました。
眼前にP9。
コルから1.5h程かかってP9に到着。
ここからは独標がよく見えます。

今回、私達は基部のバンドをトラバースするのでは無く、直登に挑戦しようと思ってはいるものの
ここから見る岩壁は、迫力があって本当に登れるのか、少し不安になりました。
P9より先は、稜線らしい道が続きます。

この日も良いお天気で、自然と笑顔が溢れる様な気持ちの良い稜線歩き。
いよいよ独標基部に近づきました。

ここでトラバース路を行くAパーティーと暫くお別れです。
取り付きは、垂壁。

ホールドはガバが多そうですが、なにせ大きなザックを背負った登山靴でのクライミング。
日陰で体感気温も低く、先ほどまでの陽気な稜線歩きから、一気に緊張感ある
バリエーションのクライミングへと様を変えます。
リードはHA君ですが・・・写真が無い。。。(動画は沢山あるのですが、、、)
ここでトラブル発生!5M位登ったところで拳大のホールドが剥がれて落石。
下でビレーしていた私は上手くよけれた。と思ったのですが跳ねた岩が膝に命中。
暫く何も考えれない位の痛みがありましたが、幸い打ち身だけの様。
ホンチャンの怖さを思い知った瞬間でした。
その後、セカンドでHIさん

最後に私が登り、無事1ピッチ目を終了。

核心は、先程の1ピッチ目だけで、あとは草付きや階段状の岩を越えてゆく

そして独標に到着。

ここから見る槍ヶ岳と山頂へと続く北鎌尾根の景色は壮観!
景色を堪能しながら軽く昼食を済ませ独標を下ります。

槍ヶ岳を望みながら稜線を進んで行きます。

美しい山陰とそこへ伸びていく険しい稜線。
山を登る事の喜びを感じるには、余りある程素晴らしい景色を望みながらの歩み。
北鎌平には15時頃に到着。
ここで独標基部で別れたAパーティーと合流。
この頃には一部の健脚者を除いては、みんな疲労困憊と言った様。
日が短くなった今の時期では、余裕があるとは言えない時間帯。
かねてから想定していた事も手伝って、ここでビバーグする事に。

私はというと、テントに入るなり明るい時間からシェラフにくるまってウトウト。
大事では無いと分かっていながらも落石で負傷した膝が不安。
みんな疲れた様子で、会話やお酒が進んだ前夜とは大違い。
夜が進む毎に風も強まり山の険しさ感じさせ、疲れで下がった気分を更に助長する。
そんな沈んだ夜でした。
三日目の朝。

ハイドレーションが凍ってしまう程、寒い朝ですが登っていると汗もかかず丁度良い気温です。
体力も回復して意気揚々。
歩いてきた北鎌沢を背に快適なクライミング。


山頂まであと少し。
山頂は目前。最後のクライミングです。
AパーティーはTJさんが先に登って、ロープで荷物を引き上げる事にしました。

平均年齢で若い(笑)私達Bパーティーは背負ったまま登る事にしました。

まるでここまで歩いてきたご褒美の様な楽しいクライミングです。
いよいよ頂上目前。

最後にもう一度、超えてきた北鎌尾根を振り返る。

そして。

長い旅のクライマックスです。
出迎えてくれたのは険しく雄大で美しい、槍穂の稜線。

何度か見た景色ですが、今日ほど美しいと思った事はありません。
それが事実かどうかは別として、その時は本当にそう思えました。

キツかった天上沢の下り。
独標基部で落石を膝に受け以後、膝を曲げると痛くて
どうしても歩みが遅れがちになり、自分の要領の悪さや不運を呪った事。
北鎌平のビバーグでは気分が沈み 山の厳しさを肌で感じながら眠った夜。
風のキツい山頂に立ち、この景色を見ながらこの旅の事をいろいろ思い返すと
なんだか急に感動がこみ上げてきて、何もかも最高の気分。
これだから山は止められません。
程なくAパーティーも到着。

MNさんは65才にして北鎌尾根を完登です。
暫く互いの健闘を称え合い、小屋に下りても興奮冷めやらずゆっくり大休憩。
正直に言うと登攀中は、これが終わったら暫くこのルートは歩きたくないな~。
なんて弱音も浮かびましたが、今はこのブログを書きながら、また歩きたい衝動が、、、。
この上ない充実感、達成感。
終わってみれば最高の山行になりました。